ななみこの統合失調感情障害ブログ

統合失調症と双極性障害の啓蒙活動をします

幻覚と錯覚

 私は、以前、うつ病として抗うつ剤治療を受けていたときは、幻聴に悩まされてきました。現在、統合失調気分障害として抗精神病薬治療を受けていますので、幻聴は消失しています。もしかしたら、前の主治医は、幻聴と錯聴を勘違いしていたのはないか?と思っています。

 今日は幻覚と錯覚について考えてみたいと思います。幻覚とは、ないものを知覚してしまうことです。実際にはないはずの人の声や物音が聞こえることを幻聴、いないはずの人や物が見えることを幻視と言います。一方、錯覚とは、実際にあるものを間違って知覚してしまうことです。例えば、天井の模様を診て、人の顔や虫だと思うような間違いは錯視、物音が人の話している声に聞こえるなどの聞き間違いを錯聴と言います。
 錯覚は精神疾患患者さんでも健常人でも生じえますが、幻覚は精神疾患患者さんで生じます。幻覚の代表例として、統合失調症の幻聴やせん妄や薬物依存での幻視などがあります。錯覚をきっかけに幻覚が生じることもありますので、幻覚のある患者さんに対しては、間違えやすいものをなくする配慮が必要です。
 幻覚や錯覚の成り立ちには、脳機能の誤作動が関係しているとされています。私達の脳は五感を通じて様々な情報を集めています。集められた情報は脳内で「人の声」、「冷たい」、「苦い」などの意味付けがなされます。この過程を知覚と呼びます。脳は集められた知覚情報を素早く処理するため、よくあるパターンをまとめて認識しています。この時に、脳内でドパミンが増えすぎていると、知覚過敏となって間違ったパターン認識が生じます。これが、幻覚や錯覚の原因です。

 幻覚を患っている本人は幻覚と錯覚が区別できないことがあります。ちゃんとした精神科医に見てもらうのはもちろんですが、家族や周囲の人たちが何かおかしいなと思ったことがあったら、積極的に幻覚が生じているのでは?と疑うことが重要と思います。