毎年恒例の家族での栗拾い。今年は、用事があって参加できず、一人寂しく栗拾いに出かけることにした。広葉樹の葉が色づき始めた雑木林は、静かでどこか物寂しい。
「ま、いっか。一人でじっくり栗拾いできるし」と、そう自分に言い聞かせながら、栗の木を目指した。
木の下には、無数のイガが落ちている。まるで栗の宝庫だ。早速、カゴを片手に、地面に落ちているイガを拾い始める。
「どれどれ、このイガは…。」
一つ一つ丁寧にイガを割っていく。中には、まだ青い栗や、虫食いになっている栗も混ざっている。
「なかなか良いのがないなぁ」
そう呟きながら、あたりを見回すと、遠くに大きな栗の木を見つけた。近づいてみると、その木は他の木よりも実をつけている。
「やった!宝の山だ!」
早速、木の下に広がって、栗拾いに夢中になった。夢中になりすぎて、いつの間にか辺りは薄暗くなっていた。
「あれ、もうこんな時間か」
慌てて家へ戻ることにした。帰り道、ふと足元を見ると、大きなドングリが落ちている。子供の頃を思い出して、拾いながら帰路についた。
家に着くと、カゴいっぱいの栗を見て、達成感に満たされた。一人で黙々とやった栗拾いだったが、思っていた以上に楽しめた。来年もまた、一人で栗拾いに行こうかな。